IT業界に憧れて、未経験から就活をスタートさせた私ですが、正直プログラミングさえできれば何とかなると思っていました。しかし、実際に企業に入ってみると予想外の壁にぶち当たりました。それが「英語」です。これからIT業界を目指す皆さんには、同じ壁にぶつかってほしくないので、英語の重要性についてお話しします。
①コードが英語ばかりで読めない
プログラミングにおいて、コードを書く際の基本的な文法と英語は、切っても切り離せない関係にあります。プログラミング言語自体が主に英語をベースに設計されているため、英語の意味を理解しているかどうかで、コードの理解速度や正確さに大きな差が出てきます。
例えば、プログラミング初心者が最初に学ぶ基本的な構文として、if文とfor文があります。
if文は「もし~ならば」という条件分岐を行うもので、for文は「~の間」という繰り返し処理を実現しますが、
これらは英単語としての意味がそのままプログラミングの機能に直結しています。
具体的には、if文は条件が成立した場合に特定の処理を実行する際に使いますが、このifが「もし~ならば」という意味であることを理解していると、コード全体の流れが頭の中でイメージしやすくなります。
逆に、ifの意味がわからないと、なぜその処理が行われているのかを理解するのに時間がかかってしまいます。たとえば、以下のコードを見てください。
if temperature > 30:
print("It's a hot day.")
このコードでは、温度が30度以上の場合に「今日は暑い」というメッセージを出力します。
ifの意味を理解していれば、「もし温度が30度より高ければメッセージを出力する」というコードの意図がすぐにわかるはずです。
次に、for文です。for文は繰り返し処理を行う際に使用しますが、英語の「for」が「~の間」という期間や範囲を示すことを知っていれば、ループ処理が何かの範囲や期間にわたって行われることを直感的に理解できます。例えば、以下のコードを見てみましょう。
for i in range(5):
print(i)
このコードは、0から4までの数字を順番に出力するものですが、forの意味を知っていると「iが0から4の範囲で繰り返し処理される」ということがすぐに理解できるでしょう。
ライブラリの重要性と英語の関係
さらに、プログラミングをしていく上で欠かせないのが「ライブラリ」です。ライブラリとは、すでに作成された便利な機能の集まりで、開発者がそれを利用することで、作業効率を大幅に向上させることができます。
しかし、ここでもまた英語力が必要になります。ライブラリの機能やメソッド(関数)は基本的に英語で記述されており、その名前や役割を理解していないと、使いこなすことが難しくなります。
例えば、Pythonでデータ分析によく使用される「Numpy」というライブラリがあります。
Numpyには、数学的な計算を簡単に行うための多くの関数が含まれていますが、これらの関数名もすべて英語で表現されています。以下は、平方根を計算する関数の例です。
import numpy as np
result = np.sqrt(16)
print(result)
ここで使われているsqrtは「square root」の略で、平方根を意味します。
この英単語を知っているだけで、sqrtという関数が何をしているのか直感的に理解できます。また、標準偏差を計算する関数stdも「standard deviation」の略で、これも統計用語としての英語を知っていることで、すぐに何を計算しているのかを理解できます。
もし、これらの英語がわからなければ、ライブラリのドキュメントを調べながら進めなければならず、作業効率が大幅に低下してしまいます。
変数・関数の命名規則と英語
変数や関数の名前を決める際にも、英語力が求められます。プログラミングでは、変数や関数の命名はその役割を明確に表すようにするのが一般的です。
例えば、データを取得するための関数をget_dataと名付ける場合、「get」がデータを取得する意味であることを理解していれば、関数が何をしているのか一目瞭然です。
同様に、エラーを捕捉する関数をcatch_errorと命名する際も、「catch」が「捕捉する」という意味であることを知っていると、その関数の目的がすぐにわかります。
英語の微妙な違いを理解することが、プログラミングを効率的に進める上で重要な要素になります。
例えば、getとcatchという動詞は、どちらも「取得する」という意味を持っていますが、IT業界では使い方が異なります。getはデータの取得に使われ、catchはエラーの取得に使われます。こうした微妙な違いを理解できていないと、コードレビューで多くの指摘を受けることになりますし、修正にも時間がかかってしまうでしょう。
私も未経験でIT業界に入ったばかりの頃、ちょっとした英語の意味の違いに悩まされた経験があります。コードを書いてレビューしてもらうと、肝心の処理部分ではなく、命名や書き方についてたくさんの指摘が返ってくるんです。
特に厄介だったのが、英語の意味を理解していないと、修正がスムーズに進まない点です。毎回、まずは英語の意味を調べるところから始めなければならず、結果として修正に時間がかかり、作業の効率が悪くなっていました。
悪いことは言いません。 少なくとも、中学生レベルの英語はしっかりと理解しておくことをおすすめします。これだけでも、コードを書く際の命名や書き方で苦労することが減り、スムーズに作業を進められるようになりますよ。
このように、プログラミングにおいて英語の理解は不可欠です。中学生レベルの英語でも十分に役立ちますので、しっかり基礎を押さえておくことが、よりスムーズな開発を進めるための第一歩です。
② 技術に関するドキュメントがほぼ英語
プログラミングを始めたばかりの頃は、日本語の教材やチュートリアルがたくさんあって非常に助かりますよね。ネット上でも解説記事や動画が豊富なので、独学である程度のスキルを身につけることができました。しかし、
実際に企業で働くようになると、少し難しい技術や新しいフレームワークに触れる機会が増え、その時に直面する大きな課題が「英語のドキュメント」です。
例えば、私が企業で初めて触れたのは「Vue.js」というJavaScriptのフレームワークでした。Vue.jsは、Webサイトやアプリケーションのユーザーインターフェース(UI)を効率よく作成するためのツールです。Vue.jsを使えば、複雑なWebアプリケーションでも簡単に構築・管理できますが、その分、独自の書き方や考え方を覚える必要があります。
ここで問題になったのが、日本語の資料が極めて少ないことでした。結局、頼りになるのは英語で書かれた技術情報ばかり。さらに、海外の開発者が集まる質問サイト「Stack Overflow」も、ほとんどが英語でのやり取りです。初心者には厳しい状況でした。
英語が得意ではない私は、ドキュメントを読むのに非常に時間がかかり、その分、作業効率も落ちてしまうという苦い経験をしました。しかし、この壁を乗り越えるために、自分なりに工夫して英語のドキュメントを読むコツを身につけました。
英語のドキュメントを読むためのコツ
1. まずは見出しを確認する
長いドキュメントを最初から最後まで読むのは、時間的にも精神的にも負担が大きいです。そこで、私はまず最初に見出しや小見出しをざっと確認することにしました。見出しには、各セクションの内容が簡潔にまとめられているので、重要な部分だけを先に把握できます。特にGetting StartedやIntroductionなどのセクションは、基本的な使い方や設定が記載されているので、初心者には役立つ情報が集まっています。
2. サンプルコードを中心に理解する
最初は英語の文章を一生懸命読んでいましたが、それだと時間がかかりすぎて非効率だと気づきました。そこで次に取り入れたのが、サンプルコードに注目する方法です。多くのドキュメントには、具体的なコード例が載っているので、そのコードを実際に自分の環境で動かしながら理解していきました。英語が分からなくても、コードが正しく動作するかを確認しながら進めることで、内容を掴むことができました。
3. 知らない英単語はすぐに覚えようとしない
ドキュメントを読んでいると、知らない単語がたくさん出てきます。しかし、そのたびにすべての単語を調べていては、さらに時間がかかります。そこで私は、よく出てくる技術的な単語にだけ注目し、それ以外の単語は飛ばして読むようにしました。例えば、「implementation」(実装)や「configuration」(設定)など、頻繁に出てくる単語は覚えるようにしましたが、一般的な英単語は無理に覚えようとはしませんでした。
4. 翻訳ツールを賢く使う
どうしても理解できない部分が出てきたときには、Google翻訳やDeepL翻訳を使いました。特に長文の技術的な説明が続くときは、翻訳ツールを使って全体をざっと理解することができました。翻訳は必ずしも完璧ではないですが、大まかな意味を掴むには十分です。複雑な文法や専門用語に惑わされることなく、ざっくりした内容を把握するのに非常に助かりました。
5. 毎日少しずつ読む習慣をつける
英語のドキュメントを読むことに慣れるためには、毎日少しずつでも読む習慣をつけることが大切です。私も最初は慣れない英語に苦労しましたが、毎日少しずつでも公式ドキュメントや技術ブログを読むようにしました。読む量を増やすことで、徐々に英語に対する抵抗感が薄れ、次第に内容が理解できるようになっていきました。
技術ドキュメントは、開発者が使う重要なリソースであり、その多くが英語で書かれているのが現実です。私自身も、これらのコツを実践して英語ドキュメントに対応できるようになりました。技術を深く理解するためには、少しでも早く英語の壁を乗り越えることが大切です。
③ 海外の人との協業で英語が話せない
IT業界では、海外のチームと協力してプロジェクトを進める機会が多くあります。私も以前、インドやフィリピンのチームとプロジェクトを進めることになり、その中で英語のコミュニケーションが原因で失敗した経験があります。
ある日、インドのチームとAPIのエラーハンドリングについて話し合っていた際、次のようなやり取りがありました。
インドチームのリーダー:「Please make sure that the endpoint returns the correct error status codes when a failure occurs. We need to handle 404 for not found and 500 for server errors. Also, log any other errors that occur. Is that clear?」
私:「Yes, we will handle 404 and 500, and log the errors… right?」
私はこれで内容を把握したと思い、作業を進めました。しかし、テスト段階で問題が発生しました。
インドチームのリーダー:「The 403 status code is missing during testing. We discussed that it’s required for forbidden access. Why wasn’t it implemented?」
私:「403? I thought we were only supposed to handle 404 and 500. Do we need to add 403 as well?」
インドチームのリーダー:「Yes, we talked about this in the previous meeting. Let’s go over the requirements again to make sure everything is covered properly.」
このとき、私は403という重要なステータスコードの話を聞き逃していました。その結果、テスト段階で大きなエラーが発生し、プロジェクトの進行が遅れてしまいました。
この失敗を通じて学んだのは、単に指示を聞くだけではなく、細かい仕様や要件をしっかりと確認し、理解できているかを常にチェックすることの重要性です。
この経験を通じて、海外チームとの協業では、英語を使うこと以上に、正確なコミュニケーションが大切であると実感しました。特に仕様や要件に関する情報を細かく確認し、チーム全体で共通理解を持つことが、プロジェクト成功の鍵だと痛感しました…。
まとめ
「英語ができないとIT業界で働けないのか?」と思われるかもしれませんが、そうではありません。プログラミングスキルがあれば、活躍するチャンスはあります。ただ、英語力があればさらに大きな武器になるのは間違いありません。私も英語で苦労しましたが、その経験を通して成長できました。
これからIT業界を目指すなら、少しでも早く英語の勉強を始めておくことをおすすめします。英語ができれば、IT業界での活躍の幅が広がります。英語が苦手だと思っている方も、諦めずに挑戦してみてください!